びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

オッド・トーマスの受難

ディーン・クーンツ著『オッド・トーマスの受難』を読んだ。
「オッド・トーマス・シリーズ」の2作目だ。

今回の敵は、「ダチュラ」と名乗る悪魔崇拝者のイカレ女だ。
コイツのイカレ方がまた…ハンパじゃねぇ~。
美しく、かつセクシーで、そして、この上なく邪悪な女。
純粋な狂気。

面白かった。
まぁ、クーンツだから、面白いのはと~ぜんなんだが。
単に「面白い」と言っても、フツーの「面白い」とは質が違うのだ。
ストーリーで面白いワケじゃねぇ~。
ストーリー自体は、「サイキック版・ダイ・ハード」みてーなカンジだ。
特に斬新でも何でもねー。

カンタンにゆーと…
この作品には、中毒性がある。
つまり、「麻薬的な作品だ」とゆーコトだ。

このシリーズは、1人称で書かれているため、読者が主人公=オッドに感情移入しやすいのだ。
それに加えて、登場人物のキャラが、全員、見事に立っている。
っつーか、もぉ、立ちまくっているカンジなのだ。
さらに、「キャラが立っている」だけでなく、
それぞれの人物が何を見て、何を感じ、何をし、
傷つき、哀しみ、喜び、怒り、恐怖し…
彼ら全ての思考や体験が、おっそろしくリアルに…
それこそ、皮膚感覚に近い感覚で伝わって来る。
「彼らが死んじゃったら、自分も死んじゃうんじゃないか?」ってくらい、リアルなのだ。
「感情移入」とゆーよりも、「シンクロ」に近い感覚だ。

コイツは…
マジで、稀有な作品だ。
なかなか、やろーとしてこんなコト、出来るモンじゃねぇ~。
ウソだと思うなら、書いてみろ。自分で。
ぜってぇ~、書けやしねーから。
俺も、随分、小説を読んで来たが、こんな作品は初めてだ。
この感覚は、「小説」とゆーよりも、むしろ「コミック」に近いかも知れねぇ~。

オッド・トーマスは、この世の誰よりも謙虚で、誠実で、勤勉で、愛情にあふれ…
そして、深く傷ついている。
オッドの人生の杯は、哀しみの色に満たされている。
まるで、修道僧のよーだ。

この作品を読む時…
人はみな、つかの間、オッドになるのだ。
そして読み終わると、みな、それぞれの人生に戻ってゆく。
何かを得て。
あるいは、ちょっとだけ、「オッド的なもの」を心に残して。
この本を読むことは、「読書」ではなく、おそらく、1つの「体験」なのだ。
サメにとって絶えず泳ぎつづけることが不可欠なように、テリ・スタンボーには愛することがどうしても必要なのだ。これは不適切なたとえかもしれないが、正確ではある。泳ぐことをやめればサメは溺れてしまうので、生き延びるには泳ぎつづけなければならない。たぶんテリも、愛することをやめたら死んでしまうのだろう。


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オッド・トーマスの受難

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by inugami_kyousuke | 2010-05-29 20:53 | 文学