びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

黄いろのトマト 博物局十六等官キュステ誌

宮沢賢治作
小林敏也画
絵本『黄いろのトマト 博物局十六等官キュステ誌』を読んだ。

実をゆーと…
『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』や『猫の事務所』『セロ弾きのゴーシュ』『よだかの星』などといった有名な作品と違って、どちらかとゆーとマイナーな作品だったので、全く期待せずに読んだ。

…が!
イイぜっ!!
コレ、イイっス!!
ちょっとイラストのタッチがパウル・クレーとか、安野光雅に似てるんで、
オリジナリティって意味ではイマイチかも知んねーけど、
単独の絵本としては、非常に完成度が高ぇ~と思う。
センスも良いし!
タイポグラフィもバッチリだし!
全てが計算され尽くしているカンジだ。
おそらく、この小林敏也って人は、そーとークレバーな人なのだろう。
「業師」っつーか。
そして、何よりも、色が素晴らしい!!
絵本としての完成度は、あるいは名作『よあけ』にも匹敵するかも知れねぇ~。
個人的には、『よあけ』の方がはるかに好みだが。
幾何学的な作品よりも、自由曲線による作品の方がスキなんで…。

特に後半の、幻想的なサーカスの象の描写は秀逸だ。
「白い四角なもの」としか本文では描かれていねーし、
イラストでも、「白いきれを四方にさげた、日本の蚊帳のようなもん」を忠実に描いているだけだ。
が…よく見ると、このイラストの背景は、象の輪郭になっているのだ。
又、各ページの下には、黄色いシミのよーなもんが付いているが、
よくよく見ると、黄色い色玉の中に、ノンブルが入っているのだ!
芸が細けぇ~っつーか、完璧主義っつーか…

全編、水彩画によるイラストだが
色のにじみ、組合せの計算がはぼカンペキに成されている。
「変に赤くどんより」なったお日さまや、ちぎれ雲、
サーカスに集う矢印たちの足元に映る影、
そして、ラスト2ページの、「まっくらな丘」から「あんまりの明るさ」への転調がサイコーだ!
さらに何より、主役である蜂雀が、ちっこくて実に愛らしい。
色も明るく、全体的に楽しい色調となっている。
「よくココまで作り込んだな~」とゆー印象だ。
コレは、ある意味、「偉業」と言って良いのかも知れねぇ~。

ペムペルとネリは毎日お父さんやお母さんたちの働くそばで遊んでゐたよ
d0012442_83592.jpg
黄いろのトマト

[PR]
by inugami_kyousuke | 2010-11-16 08:07 | 文学