びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

家政婦のミタ

松嶋菜々子主演、遊川和彦脚本の連ドラ。
初回~7回を見た。
妻『ミタさんて…ロボットなんじゃない?』
俺『みたいに見えるよね。でも、それがオチじゃ、面白くねーよな~?』

妻『このドラマ、面白い?』
俺『面白いね。俺は!』
妻『視聴率、めちゃめちゃイイみたいだけど…一体、どこがそんなに面白いの?』
俺『別に、話自体は特に面白いワケじゃねーです。俺が面白いと思うのは、この作品は、ラストへ向けて、2つの吸引力がある点だよ。
フツー物語ってのは、縦糸が1本通っていて、その道筋に沿って、起承転結が展開されるんだけど、この作品は二重構造になってる。
まず、阿須田家の話。父親の浮気が原因で、家庭崩壊した家族が、再び絆を取り戻す物語。
初回から、スーパーフシギ家政婦のミタさんは、「一緒に死んでくれ」って言われれば「承知しました」。「ヤな奴を殺して来い」って言われれば「承知しました」。「1発ヤらせろ」って言われれば「承知しました」…
いとも簡単に一線を踏み越えて、タブーを犯しちまう。
笑わない。
「業務命令」ならば、何でもやる。
我が身の安全も、常識も、道徳も、一切、考慮しない。
何でも出来る。
何でも持ってる。
ミタさんがカンペキであればあるほど、ナゾであればあるほど、視聴者は、どんどんミタさんの過去が知りたくなる。
つまり、阿須田家の人々の目線は、イコール視聴者の目線なんだよ。
そこで、当然、浮き彫りになって来るのが、もう1つの物語…
すなわち、ミタさんの過去。
だから、この作品は、前半、阿須田家の話で、後半はミタさんの話になる。
視聴者は、まず、「阿須田家がどーなるのか?」が気になる。
こーいった「家政婦もの」の場合…
要は、新しく来た家政婦が、家庭内の問題をスパスパと解決してゆくワケだけど、
この作品の場合は、どんどん悪い方向へ向かってゆくから、目が離せない。
視聴者は、最終的に、阿須田家の問題が解決されるコトは知っているワケだけど、
逆に、どんどん家庭が崩壊してゆく。
「阿須田家の再生」と「ミタさんの正体」とゆー2つの物語を引っ張る力は、ものスゲー強い。
ちなみに、ミタさんが阿須田家でやったコトは、表面的には、単に業務命令を機械的に実行しただけだけど、
実際には、あれらの命令は、「本来、遂行されるハズのない命令」だったワケで、
問題が解決出来ず、煮詰まった命令者が、半ば自暴自棄になって、つい口に出てしまった「心の叫び」だった。
ところが、ミタさんが、そーした「本来、実行されるハズのない行動」を実行してしまうコトによって、
一見、事態はますます悪い方向に向かうよーに見える。
この点は、ミタさんとうららちゃんは全く同じ作用を引き起こしているよーにも見える。
が、実は、この2人の違いは決定的で、
ミタさんの行為の意思決定は、あくまでも阿須田家の人々自らが行なっているのに対し、
一方、うららちゃんの場合は、うららちゃん自身の「善意の押し売りでしかない。
ミタさんとゆー「道徳や常識の埒外にいる者」によって、阿須田家の人々の「秘められた欲求」が、次々と白日の下に晒されてゆく。
一見、サイアクの方向へ向かっているよーにも見えるが、
実は、このミタさんの行為は、「臭いものにフタ」をした阿須田家の「フタ」を、片っ端から開けて回った結果となり、
よーするに、潜在的に存在していた阿須田家の問題点を可視化したワケだ。
問題を解決するには、まず、何が問題なのか?を認識しなければならない。
そもそも、認識出来ない問題は解決しようがないからだ。
結果、ミタさんは見事に阿須田家の問題を洗い出し、整理し、単純化した。
認識さえ出来れば、あとは最善の方法を考えて、自分たちで解決すれば良いだけだ。
こーして、阿須田家は救われた…』
改めてゆーまでもなく…
ドラマの視聴率っつーのは、通常、右肩下がりになるモノだ。
初回が1番良くて、少しずつ下がってゆく。
んで、ゆるやかな「U」の字を描いて、後半、ゆっくりと数字を伸ばしてゆき、
最終回が初回の数字を上回り、最高視聴率となって終わるのがフツーは理想的とされる。
逆に、右肩上がりってのは、非常に珍しい。
大抵、右肩上がりのドラマは、1シーズンに1本、あるかないか?ってトコだが…
この作品は、5回にして、ついに20%を越え、22.5%とゆー数字を叩き出し、『南極大陸』の初回22.2%をあっさり抜き去り、最高視聴率をマークした。
6回は234%。
この数字は、『仁』最終回26.1%、『マルモのおきて』最終回23.9%に次ぐ本年度第3位となった。
また、この段階で、全話18%越えを果たした唯一のドラマとなった。
視聴者、特に若年層のテレビ離れが加速している昨今、この数字は驚異的だろう。
何せ、2011年度で20%越えしたドラマは、『仁』『マルモ』『ミタ』『南極』だけ。
更に、平均で20%越えしたドラマは、『仁』と『ミタ』の2本のみなのだ。

俺『今季の見どころは、「家政婦のミタ」がどこまで伸びるか?と「南極大陸」がどこまで落ちるか?の2点に尽きるな…』
主題歌は、斉藤和義の『やさしくなりたい』。
この曲も、強い。
「愛無き時代に生まれたわけじゃない」…
二重否定は強調…すなわち強い肯定だ。
せっかく「愛のある時代に生まれて来たのに」…とゆー意味だ。
さらに、幾度となく繰り返される「強くなりたい」「やさしくなりたい」の意味は、
すなわち自分は「弱い」し、「やさしくない」とゆーコトだ。
「強くなれない」「やさしくなれない」ということを意味する。
絶望的な叫びのよーな歌だが、
それでも、「強くなりたい」「やさしくなりたい」とゆー希望がある。
そこに、たしかに光は存在するのだ。

承知しました。
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by inugami_kyousuke | 2011-11-30 00:05 | テレビ