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犬神狂介の【狂人日記】

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イベント・ホライゾン

【80点】

●『バイオハザード』のポール・アンダーソン監督作品。
あまり話題にはならなかったが、悪くね~です。
SF風味のホラーなのか、ホラー風味のSFなのか…いまいちハッキリしないが、とてもよく出来ている。
そこらへんに転がってるホラー作品なんかより、ずっとちゃんとしたホラーに仕上がっている。
●「宇宙船」という「閉塞状況」下での狂気=いわゆる「キャビン・フィーバー」を描いた作品。
宇宙という「限りなく開いた空間」に浮かんだ「宇宙船」という密室(すなわち、「限りなく閉じた空間」)…という設定がイケてる。
ホラー作品の舞台を宇宙に移すコトによって、この作品は、あらゆる制約から完全に自由になった。
「未知の恐怖」の名のもとに、「なんでもあり」の状況を作り出したワケである。
ただ1つ欲を言えば、ブラックホールの向こうに、びっくりするよーなオチを用意してくれていれば、かなりの高評価になっていたハズである。
●ローレンス・フィッシュバーン(『マトリックス』のモーフィアス)が宇宙船の艦長を熱演している。
スフィア』や『アビス』のように、この作品には、クリーチャーのよーな明確な「恐怖の対象」が登場しない。
「上質なホラー」の条件は、基本的に「恐怖の対象を見せない」コトなのだが…
逆に、完全に見せないと、今度はソレが観客にはフラストレーションになってしまうようだ。
ミもフタもない話になってしまうが…
「じわじわとジラして、パッと、一瞬だけ見せる」のが最も効果的なのだろう。
スピルバーグの『ジョーズ』みたいに。
(ちなみに、1作目の『ゴジラ』も、この手法で語られていた)
「恐怖の対象」は、何でも構わない。タコでもミミズでもコウモリでも…。
どんなチャチ~イものでも、それなりの「設定」さえあれば、作品は成立する。
(ヒットするかどうか?、はまた別の話だが…)
●しかし、最初から「恐怖の対象」が存在しない場合は、作品の難易度は飛躍的に高くなる。
「ない」ものを描かねばならないのだから、カンタンであるハズがない。
「腕の見せどころ」というコトになるのだが…苦労のわりに、このテの作品は、評価されない。
やはり、人は偶像を求めるモノなのだろう。
わかりやすい化け物が出て来る作品の方が、多少、出来が悪くてもヒットしやすいよーな気がする…
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by inugami_kyousuke | 2005-08-11 22:09