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犬神狂介の【狂人日記】

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ストレイト・ストーリー

【5点】

●デヴィッド・リンチ監督作品。
俺にとって、コレは主演のリチャード・フォンズワースっつー「じーちゃんを見る映画」だ。
このじーちゃんは、あの『赤毛のアン』でマシューをやった、あのじーちゃんだ!
…なに?ストーリー?
あるかよ、そんなモン!
コレは、「じーちゃんを心ゆくまで堪能するためだけの作品」なのだ。
てか、「頑固ジジイが、絶縁状態だった兄貴と仲直りするために、500キロもの道のりをトラクターで旅した」とゆー実話なんで…それ以上のストーリーなんてモノはないのである。
「会いに行った。終わり」…コレがこの作品の「あらすじ」っつーか、ストーリーの全てである。
●この作品のキモは、じーちゃんと同じ「目線」で世界を再認識するコトが出来る…という一点
に尽きる。
道では、ビュンビュン他のクルマに抜かされて、超ノロノロのトラクターで、気の遠くなるよーな距離を、トコトコと進んでゆく内に、「じーちゃんの目で見た世界」が見えて来る。
あたかも超高速度カメラのとらえた映像が、日常とは別世界に見えるよーに、じーちゃんの「超ロースピード」の世界も、我々が日常生活で気にもとめずに、すぐ横を足早に通り過ぎてしまう「小さな出来事」がいっぱいだ。
よく、コレを「のんびりした旅」と言う人がいるが…
ソレはちょっと違うと思う。
ソレは、あくまで我々の目から見た「じーちゃんの世界」であって、当のじーちゃん的には、「心はいつもトップギア」なのである!
『F』じゃねーけど、「どけどけどけィ~!何人たりとも、オレ様の前を走るコトは許さん!!」ってカンジなんじゃねーだろーか?
●この作品の主題は、「人生、のんびり行くのもいいモンだ…」などというモノではなく、
「大切なのは、結果ではなく、過程である」というコトではないだろーか…。
実際、この作品は、やっとじーちゃんが兄の家に到着したところでブツッと終わる。
この作品は、じーちゃんが兄に会いに行く旅の「過程」を描いたモノで、
その後のコトなんて、ど~だってイイのだ。
「目的」を持って行動するのが悪いとは言わないが、あくまで「目的」は「結果」であって、本当は、「過程」こそが大切なのである。
●ま、映画を見て高倉健やブルース・リーになり切っちゃうみたいに、たまにはじーちゃんになってみるのも悪くねーんじゃね~か?と思う…。
世界は多面体の宝石みたいなモンなのだ。
たまに、いつもと違った角度から眺めてみると、世界はガラッと様変わりして見えるかも知れない…。
ちなみに、じーちゃんはこの作品が公開された翌年、自殺した。
ご冥福を祈る…。
じーちゃんの姿は、映画ファンの心に、永遠に残るコトだろう…!
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by inugami_kyousuke | 2005-09-30 23:59