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犬神狂介の【狂人日記】

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鉄男 TETSUO

【3点】

●塚本晋也監督、脚本、撮影、製作、特撮、編集、美術、照明…までやったカルト作品。
どちらかと言うと、実験的な作品で、「面白い」とか、「面白くない」とか言うよーな作品ではない。
『イレイザーヘッド』や『死霊のはらわた』を連想させるよーなカメラワークだ。
安部公房的なモノを感じる人もいるかも知れない。
「何かを表現したい!」という、あふれんばかりの情熱と、物凄いパワーを堪能すべき作品だ。
特に、ストーリーらしいストーリーはない。
セリフもない。
全編、わめいたり、うなったり、叫んだりしているだけだ。
決して、他人にすすめられる類いの作品ではないが、個人的には、こーゆう作品もアリだと
思っている。
少なくとも、失敗した商業映画よりは、遥かにマシだ。
この作品は、決して「失敗作」ではない。
商業映画とは、根本的に立脚点が違うだけだ。
商業映画がポスターや雑誌の表紙を飾るイラストだとしたら、この手の作品は、ビルの上からキャンバスに絵の具を落としたり、ボディペインティングをしたり…といった前衛芸術のよーなモンだと思う。
ソレを「アート」として認められるか、あるいはタダの「ゴミ」として忘れ去られるかは、その時代が決めるコトだ。
いずれにせよ、裾野にこーいった作品が無数にあってこそ、初めて真に良質な作品を生み出す土壌が出来るのである。
●たしか、「普通サイズの怪人シリーズ」と銘打っていたハズだが、その後、シリーズが展開されるコトはなかったよーだ。
ひょっとすると、初期の構想では、立て続けに『ゴム女』とか、『プラスチック少年』とか、『ガラス少女』とかを撮る予定だったのかも知れない。
内容は大体、想像がつくし、結果的には「やらなくて正解」だったのかも知れないが…4話オムニバスとかだったら、ちょっと見てみたかったよーな気もする。
鉄男 TETSUO_d0012442_2041199.jpg

by inugami_kyousuke | 2005-10-12 20:47