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犬神狂介の【狂人日記】

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LOST シーズン1

J・J・エイブラムス製作・監督・脚本のTVドラマ。
面白かった!
が…第1話を見終わった時点で、すでにネタはバレてしまったよーに思う。
この話は、『GANTZ』や『ホムンクルス』と同様、ひたすら面白い展開だけを追求しているだけなので、バカスカ出て来るフックは、決して回収されるコトはない。
よーするに、続けば続くほど、どんどん風呂敷を広げてゆくだけの物語なのだ。
決してその風呂敷がたたまれるコトはない。
2000年を境に、アメリカではマンネリ打破のために、海外作品のリメイクやストーリーテリングのタブー破りを積極的に行なって来た。
様々な試みが行なわれ、TVドラマでは『24』の成功を受け、『デスパレートな妻たち』や『LOST』のよーな、クーンツが昔からやって来たよーな融合小説を思わせる作品までが登場した。
つまり、膠着した状態を解消するための「新しい血を入れる」ムーブメントの1つだ。
系譜的には、『ダラス』『ER緊急救命室』『ツイン・ピークス』等の流れを汲み、『キャスト・アウェイ』や『サバイバー』、スティーヴン・キングの『ザ・スタンド』を参考とした、と言われている。
単一の主人公とゆー存在はなく…
それぞれの魅力的なキャラクターに、それぞれの物語が用意される。
従って、登場人物の数だけ物語が存在し、ジャンルも自由自在だ。
よーするに、何の規制もなく、ジャンルに縛られるコトもなく、オチをつける必要すらなく、フックは出しっぱなしで構わない…
ただ、純粋にその場の面白さのみを追求していれば良い、とゆー環境を作り出したワケだ。
日本では、主にコミックの世界で、こーした手法はつとに用いられて来た。
(コミックの場合は、主人公は単一だが)
昔の…
今では古典とか名作と呼ばれる作品の多くは、こーした手法によって描かれている。
おそらく、人気投票とゆー、フィードバックのシステムを持つコトが、独自の進化をもたらしたのかも知れない。
物語のごく初期に死ぬハズの登場人物が、準主役にまで成長し、最後まで生き残ったり…
時には、主役が交代したり、テーマすら変質してしまったり…
そこでは、よーするに、読者の読みたい物語のみが語られるワケだ。
ある意味、究極のエンターテイメントと言える。
もちろん、こーした作劇法は、コミックだけのモノではない。
演劇で、観客の反応を見て、毎回、演出家が脚本に手を入れたり…
金庸ほど自由な作家も珍しいものの、小説でも、そーした書き方をする作家もごく一部にはいる。
映画の世界では、あるいはウォン・カーウァイ監督の手法がそれに最も近いのかも知れない。
作品中にバラまかれた謎は、非常に好奇心をそそる、魅力的なモノだ。
ハーリーの取り憑かれた悪魔の数字、
ウォルターの実体化能力、
出没するジャックの死んだハズの父親、
天然のセキュリティーシステムと呼ばれる怪物、
ブレアウィッチのバクリっぽい彼等、
再び動くよーになったロックの脚…
基本的に、この物語で語られるのは、キャラクターたちの過去ばかりで…
提起された謎が解明されるコトはない。
シーズン1のラストでは、ついにハッチが開き、新たな風呂敷が広げられた…
この話も、いずれは何らかのカタチでオチをつけるのだろうが…
多くの人が期待するほどカンペキなラストが待っているとは、とうてい思えない。
むしろ、非常にあっけないエンディングになる可能性が高いと思う。
「逃げ切り」ってヤツだ。
いや…「ヤリ逃げ」か?
結局、『鉄人ガンマ』は、「私は変わりたい」と言いつつも、永遠に変わるコトなく、
『NIGHT HEAD』の「変革」が来るコトはないし、
『ブレアウィッチ・プロジェクト』の正体が明示されるコトもないのだ。
なぜなら…
手品のネタと同じで、「描かないのがミソ」だからだ。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とゆー川柳があるが…
プロたるもの、決して「枯れ尾花」を見せてはいけないのだ。
たとえ、どんなに客が見たがっても!
要は、夢を与える仕事なのに、夢を壊してど~すんだ!?って話である。
最初、『惑星ソラリス』みてーな話で落とす気かと思ったが…
ソレだけじゃ、ど~見ても収斂出来そーにない。
ので、個人的には、ウィリアム・ゴールディングの『ピンチャー・マーティン』か、
江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』みてーなオチになるんじゃねーか?と予想してるんだが…
秘密を知りたいか?
by inugami_kyousuke | 2007-05-05 12:16 | テレビ