びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

ゴッド・ディーバ

【35点】

バンド・デシネ(フランスのコミック)の巨匠=エンキ・ビラル原作、脚本、監督作品。
いわゆる「ニコポル3部作」…
1)不死者のカーニバル
2)罠の女
3)冷たい赤道
の第2部までを、ナント、4年もかけて映画化した作品らしい。
巷では、ヒジョ~に評判が悪いけど。
「ワケがわからない」
「映像だけを楽しむ作品。…のワリにはCGがショボい」
「チョコレートみたいなタイトルだ」などなど。
カンタンに言うと、神様が主人公の人間のオトコの身体に乗り移って、エイリアンの女性をレイプする話。
…ってゆーと、ホントに、ミもフタもね~んだけど。
ちなみに、ギリシャ神話だと、神々はメチャメチャ人間的な存在として描かれている。
ゼウスなんか、妻ヘラの目を盗んでは、しょっちゅう人間の女に手を出したりしてるし。
ソレを、なぜかビラルはエジプト神話でやろうと思ったらしい。
2095年、突然、NY上空に現れたナゾのピラミッドから、7日間だけ不死となった太陽神ホルスが地上に降り立ち…つー基本的な設定からして、既に充分ヘンだし!
こーゆうヘンテコで超ゴーインな設定のオンパレードで、この話は勝手にどんどん進んでゆくのだ。
受け手が納得するか?なんてコトは、もちろん、全くお構いなしだ。
まことに潔い。
わかんねーヤツは、見なくて良し!っつーワケだ。
だから…他人に薦める気は全くねーけど、個人的には、結構、面白かった。
ひょっとすると、『ブレードランナー』よりも好きかも知れねぇ~。
CGはゲーム画面みたいでショボめだし、ストーリーは設定が説明不足でわかりにくいし…
やや難のある作品だが、『ナイト・ウォッチ』みたいな、独特の不思議な魅力を持った作品だ。
コレで『デューン』並みのしっかりした世界観が確立していれば、マニアックな名作として名を残していたコトだろう。
『黒いフィフス・エレメント』なんて呼ばれたりもしているよーだが…
あんなにダサダサのふにゃふにゃじゃねぇ~と思うが。
少なくとも、トンデモなく貧弱だった『ネバーウェア』なんかよりも、はるかに豊穣なイマジネー
ションの世界が楽しめた。
エンキ・ビラルとゆー人は、日本の作家にも多大な影響を与えており、荒木飛呂彦の作品には、しばしばビラル作品と類似したキャラクターが登場する。
士郎正宗 も然り。
『ブレードランナー』や『マトリックス』も、この作品(原作)の絶対的な影響下で生まれたモノらしい。
この独特の猥雑で胡散臭いイメージが心地いい。
また、レイプとは言っても、ニコポルはジルに恋してるから…ちょっとフクザツだ。
そもそもホルスがいなかったら、ニコポルはジルに出遭ってもいないワケだし、
どんなにジルを想っても、ホルスのパワーなしだったら、ジルはついて来なかったワケだし…。
ただひたすら「ヤれればいい」とゆーホルスと、見事にエイリアンの美女に恋してしまったニコポル、自分が誰だかすらわからないジル…
わずか7日間の、美しくも奇妙な恋の物語だ。
『バッファロー66』や『ディーバ』を思い出した。
ラストシーンで、ジルとニコポルの子供が青い鳥に変身するコトから、この赤ちゃんがホルスの子でもあるコトがわかる。
更に、妻曰く…
「青い鳥が平和の象徴であるハトを捕食するシーンの直後、囚われのホルスが舌なめずりしてた!」
とゆーのだが…
確かに、言われてみれば、そんな風にも見える。
だとすると…この赤ちゃんは、文字通り、ホルスの分身であり、五感はホルスに直結しているのだろう。
つーコトは…何か?
この作品世界では、ホルスが創造主って設定だから…
ナザレのイエスもまたホルスの子だった、ってコトになるのだろーか?
この話…
諸々の枝葉末節を取り払って見てみると…
2人の男女が出遭ってから結ばれるまでを描いており…
神によって、出遭うハズのない2人が出遭い、結ばれ、子をもうけ…、また、彼等の子供にも、神が介在している…
すなわち、あまねく存在する神…「遍在する神」の物語だ。
神(運命)を受け入れ、神と共に生きてゆく話だ。
ジルの青い涙は、浴槽の水に溶け、ニコポルの左腕を永遠に青く染める。
世紀末のニューヨークは…
種としての終焉を迎えつつある人類、ミュータント、エイリアンがひしめき、セントラルパークには時空の穴が口を開け、天空には外宇宙から飛来したピラミッドが浮いている。
終末感ただよう、まさに混沌(カオス)の世界だ。
一方、1年後のパリは、引き裂かれた恋人たちが再び出会い、
ジルの髪、唇、赤ちゃん、青い空…
全てがブルーで統一され、青い鳥は、ニコポルの青く染まった腕にとまろうとする。
ジルの青い涙だけがソコにはない。
おそらく、ジルの涙は、ニコポルの腕や青い鳥へと形を変えたのだ。
新しい生命の誕生と神の再来、恋人たちの再会は、すなわち世界の再生の象徴だ。
新たなる神話の始まりを暗示する、希望に満ちた、力強いエンディングだった。
ラストでドォォォーン!と曲がかかるのも、カッコいいし。
映画用のオリジナルストーリーとは言え、いちおー第2部までの映画化なので…
個人的には、是非とも続きが観てーなぁ~!
興行的には、限りなくムリっぽいけど。
ちなみに、ジル役のリンダ・アルディとゆー人は、1992年度のミス・フランスだったらしい。
また、最後にジルが読んでいた本は…
シャルル・ボオドレエルの『悪の華』だったらしい。
俺は、てっきり、ロートレアモンの『マルドロールの歌』かと思っちまったぜぇ~。
ニコポルの魂。
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by inugami_kyousuke | 2007-07-07 01:27 | 地獄行き(それ以下)