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犬神狂介の【狂人日記】

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アレクサンドリア四重奏 3 マウントオリーヴ

ロレンス・ダレルの『アレクサンドリア四重奏』4部作の3作目。

う゛う゛う゛っ…
何だ、コ゛レ゛~???
何でいきなり、エスピオナージュになってるんスかねぇ~?

実は、俺…
もーずっと昔に「エスピオナージュは2度と読まねー」って決めてたのに!
読んじゃったじゃねぇ~かよ!!!!!

一時期、すっげーハマって、エスピオナージュばっかむさぼり読んでた時期があった。
ま、最初は面白がって読んでたんだけど…
その内、あまりの暗さに嫌気がさして来て、キッパリ、今後一切、エスピオナージュとは縁を切るコトに決めたのだ。
で、何がそんなにイヤだったか?つーと…
と・に・か・く、暗ぇ~んだよ!!
もぉ、と・こ・と・ん、暗い!!
人間不信になりそーなくらい、真っっっ暗闇なのだ。
基本的に、「スパイもの」ってのは、よーするに「人をだます話」なのだ。
実際には、007みてーに、ド派手なアクションを演じるエージェントなんてナンセンスだ。
「リトル・グレイマン」と言って…群集にまぎれてしまうよーな、没個性的で、目立たない小男こそがエージェントの鑑なのだ。
もちろん、それは見た目の話で、中身は「羊の皮をかぶった狼」だ。
彼等は「羊」に擬態し、その陰で、平然と人を利用し、あざむき、裏切り…
そして、冷酷に殺す。
「だまし、だまされる」世界だ。
つまり、その戦いは「人はどこまで冷酷で卑劣になれるか?」とゆー戦いに過ぎない。
「人の道を、より踏み外した方が勝ち」とゆー、異常な世界だ。
単なる「外道くらべ」。
そんなモン、わざわざ読みたくねぇ~。
それに気付いた時、俺はもう、このジャンルを楽しむコトが出来なくなってしまった。
なのに…
まさかこのオッサンに、また読まされるコトになろーとは!

ま、いーや。
話を戻そう。

…しかも、今回は、突然、筆がノッっちゃったらしく、100ページも分厚くなってやがるし!

1)ジュスティーヌ 339ページ
2)バルタザール 317ページ
3)マウントオリーヴ 431ページ…

いや、別に、厚いのは全っっっ然、苦にならね~んだけどね、面白ければ!
1作目も、前半と後半が、まるきり別人の文章のよーだし、
2作目は、突然、ブツッ!と終わって、その後に創作メモみてーなのが付いてるだけだし、
そして、3作目では、意味もなく饒舌に!
コレを見る限り…
ダレルって人は、おそろしくムラッ気の多い作家のよーだ。
そして、おそらく、あまりアタマも良くない。
コレは、飽くまでも私見だが。

俺としては、一応、この作品の趣旨は理解しているつもりだが、どー見ても、テーマが効果的に描かれているとは思えねー。
つーか、ハッキリ言って「いいかげんなヤツ」だ。
いいかげんなヤツの、いいかげんな仕事だ。
てか、ヘタクソだ。
世間的には、この『アレクサンドリア四重奏』は、「ダレルの代表作であり、傑作」とゆー評価を下されているみたいだが…
俺は、そうは思わない。
コレを読むヒマがあったら、芥川の『藪の中』を1000回繰り返し読んだ方が、はるかに有意義だと思う。
芥川龍之介とゆー人は、おそろしくクレバーな作家だ。
おそらく、ダレルとは対極的な作家と言って良いだろう。
アタマが良過ぎたのが、芥川の不幸だったのかも知れないが。
彼の作品は、まるで芸術的なナイフのコレクションのよーで…
その刃は、どれも極限まで研ぎすまされている。
一方、ダレルの作品は、いちおー、見た目は高級そーに見えるんだが、
どれもなまくらだ。
ろくに刃なんか、ついてねーだろ?
こんなんじゃ、ノコギリみてーにギコギコしなきゃ、何も切れねーんじゃね~か!?ってカンジだ。

この作品を読んでると…
行き先は決まってるのに、出鱈目な方向に走り出しては、あちこちぶつかって、どんどん街を破壊してゆく暴走タクシーに乗せられた気分になる。
でも、まぁ、いちおー4部作なんで…
最後まで読んでみよーかな?
「乗りかかった船」っつーか、
「沈みかかった船」ってカンジだけど。
アレクサンドリア四重奏 3 マウントオリーヴ_d0012442_2155590.jpg
アレクサンドリア四重奏 3 マウントオリーブ

by inugami_kyousuke | 2008-06-21 03:16 | 文学