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犬神狂介の【狂人日記】

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猫のパジャマ

レイ・ブラッドベリの短編集、『猫のパジャマ』を読んだ。
83歳で出版した本だ。

この本には、ナントッ…
「耳」があるのだっ!
黒いカバーには、でっかい猫の目のイラストが描いてあって、耳の部分は折り込んである。
耳を立てて、バッと本を見開きにすると…
黒猫の顔に見えるよーになっているのだ。
もちろん、耳を立てて読んだ。
と~ぜんだろ?

秋だから、久々にブラッドベリでも…
と思って読んだんだけど、ビミョ~に「?」ってカンジだった。

いや、決して悪い本ではないと思う。
でも、俺にとってブラッドベリとゆー作家は、特別な存在なんで。
やっぱ、『10月はたそがれの国』『黒いカーニバル』『刺青の男』あたりが、俺にとってのレイ・ブラッドベリなのだ。
少年期の幻想や不安に彩られた作品群。
が、この本は、どちらかとゆーと、いわゆる「奇妙な味」に近い作品ばっかで…
ダールとかスレッサーみたいな、あるいは「ヒッチコック劇場」みたいな、アタマとテクニックで書かれた作品ばっかなのだ。
ブラッドベリは、感性で書かれたモノの方が、ぜってーイイ!
元々、あんまり理性的な作家じゃねーんだから。
キングもそーだけど、SFなんか書かすとスゴイぞ~。
科学もへったくれもねーから。
ヘーキで「コレでいーんだったら、い~んだ!」みたいな書き方をするからなー。

この作品集の中では、『用心深い男の死』がいちばん良かったけど、コレだったら、別にブラッドベリじゃなくても…って思う。
よく見ると、古い作品と新しい作品が交互に収録されている。
『さなぎ』『屋敷』『三角関係』なんかは、かなり毛色がちげーよな~?
「っぽくねー」っつーか。
純文っぽい。
何つーか…「たそがれの国」じゃねーんだよな~、コレは。
「光の国」みたいな。

古いモノは、ブラッドベリの仕事場から発掘された、いわゆる「お蔵入り」原稿らしい。
「仕事場から発掘」ってのも、ヘンな話だが。
要は、自分の職場に何があるかも把握出来てねーってコトだよな~?

ブラッドベリが、まだ元気で書いているコトは、純粋にうれしい。
その作品を読めるコトも、幸せなコトだと思う。
でも…
俺の愛した、あのブラッドベリが、永遠に失われてしまったコトは、ザンネンでならない。
猫のパジャマ_d0012442_22372058.jpg

by inugami_kyousuke | 2008-10-14 23:40 | 文学