びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

マルドゥック・ヴェロシティ

冲方丁の『マルドゥック・ヴェロシティ』を読んだ。
冲方丁は、「うぶかた・とう」と読むそーだ。
「おきかた」ではない。
「氵(さんずい)」ではなく、「冫(にすい)」だ。
意味は…
書くのがめんどくせ~から、興味のある人は、自分で調べてもらいたい。

「面白い」って評判だったから、読んでみた。
そーゆうのって、大抵、大したコトねぇ~モンなんだけど…
この本は、マジで面白かったぜぇ~!
久々に、楽しめた。

しかし…
読み始めて気がついた。
コ、コレって…!
ひょっとして、2作目じゃん!?
1作目は、『マルドゥック・スクランブル』だったのかー!!
しまったぜっ!!
まず、タイトルがまぎらわしー上に、どっちも3巻本なのだ。
でも、コッチを読み始めちまったしなぁ~。
ま、いっかー?
前日譚だしな。
つーコトは、ある意味…時系列的には、正しい順番なワケだし~。
などと自分に言い訳をしながら、読んだ。
2作目から…う゛う゛う゛。

SFなんだけど…
けっこーハードボイルドだ。
ジュブナイルっつーか、ライトノベルっつーか…
(じゃないみたいだけど)
にしては、かなりハードだ。
でも、究極にハードって程でもない。
平井和正の『死霊狩り』みてーな話だけど、アレに比べたら、はるかに軽い。
一見、重そーだけど、深みはない。
ハードなのにライト、みたいな。
ハードボイルドつっても、「温泉玉子」くらいかな~?みたいな。
つまり、夢枕獏の『キマイラ』みてーなモンなのだ。

エログロの要素も満載なんだけど…
陰惨な血みどろバトルが延々と繰り広げられてゆくんだけど…
この作品には、不思議と絶望感てモンがねーし、暗くねぇ~。
ベタベタしてねーのだ。
あと味スッキリ、みたいな。

なぜ、このよーに軽いのか?とゆーと…
基本的に、この作品の世界観は「少年ジャンプ」なのだ。
世界観が「マンガ的」もしくは「アニメ的」と言っても良い。
つまり、単純明快なのだ。
登場人物たちは、それぞれに悩みや苦しみを抱えているが、
あっという間に、それぞれのキャラクターに合った答えを見つけてしまう。
あるいは、最初から答えを持っている。
一切、キャラがブレない。
世界観が完結している。
コレは、いわば人形劇のよーなモノだ。
人形たちは、けっして自ら糸を切って、作者の意図を外れて勝手に動き出したりはしない。
クレバーな作家だとは思う。
しかし、この方法論では、作家の能力によって予め既定された枠組みを超えて、キャラクターや物語が暴走するコトはない。
電車は、敷かれたレールを外れない。
ソレは、長所でもあるし、同時に短所でもある。

よ~するに、この作品は、ハードボイルドSFタッチの風太郎忍法帖なのだ。
もっとカンタンにゆーと、『魁!!男塾』なのだ。
チーム対チームのバトルが、延々と繰り広げられてゆく。

ボイルドは重力をコントロール出来る。
ウフコックは、変身出来る。
敵も味方も、みな、特殊能力を持っている。
まるで、『X-MEN』みて~だ。
敵のカトルカールは、あまりにも人間離れしてて、『パペットマスター』みてーだった。
「禁じられた科学技術」とゆー設定だけど…
科学的根拠は全くなく、ほとんど魔法とか、ファンタジーの世界に近い。
風太郎忍法帖もそうだが、「こんな能力があったら、面白いだろうな?」と思ったら、それだけで、OKなのだ。

俺「今ねー、この本読んでんだよ~」
妻「ふう~ん(無反応)」
俺「黄金のネズミがねー、どんな武器にでも変身出来る話」
妻「へぇ~」
俺「んでねー、弾は無限に出て来るんだよ~」
妻「えっ!なぜっ!?そんなハズないでしょ?」
俺「た、たしかに…質量保存の法則に反するかも~?」
妻「弾は、どっから出て来るワケ~?」
俺「ひょっとして…フンかな?ネズミのフンかも~?」
妻「つまり…無限にフンをし続けるネズミの話なの~?」
俺「エエエ~ッ?そ、そんな話だったっけな~?」

非常にクセのある文体で、慣れるまで、スゲー疲れた。
正直…何度か、挫折しそーになった。
意図的にやってるよーだが、あまり好きになれない。

ウフコック=ペンティーノが、めちゃめちゃカワイイぜぇ~!!
俺も、ウフコックが欲しいぜー。
表紙のイラストは、寺田克也だ。
それにしても、ディムズデイル=ボイルドって…
『攻殻機動隊』のバトーに激似だと思うのは、俺だけなんだろーか?

ボイルドのオッサンは、
「あんたの恐怖を取り除いてやる。全て残らずな」
とか、
「俺が、お前の願いを妨げるものを全て取り除いてやる」
とか…いちいちゆーコトがカッコイイんだけど、いまいち結果を出してねーよーな気がする。
ウフコックを「煮え切らないネズミ」とゆーわりには、ボイルドも結構、うじうじしてて…
「固茹で」ってほど、固茹でじゃねーと思う。

「あなたの名前は、アーモンドの味と香りよ、ディム。あなたを呼ぶと、とっても酔いたい気分になるわ」
ボイルドとナタリアは、まるでロミオとジュリエットみてーにいい雰囲気になってゆくんだが、
「コレは、そーゆう話じゃないから」みたいなカンジで、端折られてしまう。
せっかく大きな風呂敷なんだから…
もっと広げてもいいと思うんだが。
欲のない作家だ。

非常に面白い作品だし、要所要所で感動もした。
が、風太郎忍法帖の体裁を採るんだったら、ラストのボイルドvsフリント戦は、もっと盛り上げなきゃダメだと思う。
読んでいて、冲方丁とゆー人は、あまり戦闘にキョーミがねーのかな?と感じた。
何つーか、淡白なのだ。描き方が。
「ハイ。どー書いたって、結局はコッチの勝ちなんだから…コレで終わり。ハイ、次!」みたいな。
「オレが言いたいコトが言えればイイやー」みたいな。
闘いに、コブシが入ってね~っつーか。
荒木飛呂彦みてーな、究極バトルに至らねーのだ。
それぞれの特殊能力の設定がテキトーなので(っつーか、作者だけが知っている、みたいな?)、
バトルに深みがない。
戦略ってモンがねぇ~。
それぞれの能力が破られたら、ソレで終わり。
即、死亡。
即、退場。
ハイ、次!みたいな。

ボイルドvsフリント戦こそが、この作品の最大の見せ場だったんだけどな~。
マジで、勿体ねぇ~。
ちなみに、主要人物のネーミングは、
・ウフコック…半熟卵oeuf a` la coque(ウフアラコック)
・ボイルド…ハードボイルドエッグ
・イースター…イースターエッグ
に由来している。

「ネズミが手袋になったの?手袋がネズミになったの?」
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マルドゥック・ヴェロシティ 1


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マルドゥック・ヴェロシティ 2


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マルドゥック・ヴェロシティ 3

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by inugami_kyousuke | 2009-04-11 09:20 | 文学