びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

マルドゥック・スクランブル

冲方丁『マルドゥック・スクランブル』全3巻を読んだ。

面白かった。
『レオン』にインスパイアされて書き始めた作品だそーだ。

『マルドゥック・ヴェロシティ』より、はるかに読みやすくてビックリした。
こっちは、フツーの文体じゃねーかよ。

ウフコックがっ!
ウフコックが、服を着てるんスけど~!?
この作品のウフコックは、シッポに穴のあいたズボンをはき、黄金の毛並みで、赤い目をしてる。
や、やめてくれ~!!
ハッキリ言って、悪趣味だ。
ミッキーマウスじゃねーんだから!
スチュアート・リトルじゃねーんだから~~~。

やっと、ウフコックの能力の謎が解けた。
ど~やら、「無限に出て来る弾丸」は、ネズミの糞ではなかったよーだ。
「肉体が多次元構造となっており、亜空間にストックした物質から、物を作り出す」能力がある、とゆー設定だったらしい。
よーするに、ウフコックは、存在自体がドラえもんの「四次元ポケット」みたいなモノなのだ。
また、ボイルドの能力も、「宇宙空間で、歩行を安定させるため、擬似重力を発生させる技術を、さらに進化させたもの」とゆー説明があった。
何だよ~、不親切だな~。
だったら、パート2にも、カンタンに書いといてくれよ~。
てっきり、ネズミの糞かと思っちゃったじゃねーかよ~!
また、「ウフコックは、いずれ太り過ぎて死ぬ」とゆー設定も初めて知った。
ダイエットは出来ねーんだろ~か?
てか、もーちょっとドラマチックな理由じゃダメだったんだろーか?

彼等の創造主である三博士の唯一の生存者=フェイスマンとボイルドの対話は、ディベートのよーにも、あるいは禅問答のよーにも見える。
神と悪魔、聖と邪、正と負、創造と破壊、希望と絶望…
それらは未来永劫、互いに相容れない、対極的な価値観の相克だ。
作者の冲方丁とゆー人は、シンガポールやネパールで子供時代を過ごした人らしいので…
あるいは弁論大会のよーな文化を経験している人なのかも知れない、と思った。

『マルドゥック・ヴェロシティ』が、ボイルドが堕ちてゆく話だとしたら…
『マルドゥック・スクランブル』は、バロットが一度死んで、再生し、成長してゆく話だ。
ウフコックを軸として、この2作は、光と影のよーに、シンメトリーとなっている。
陰と陽。
絶望と希望。
殺す者と生かす者…
構成的に考えると、このシリーズは3部作で完結するよーに思えるが、
もしも書かれるとしたら、第3部は、一体、何が描かれるのだろうか?
ウフコックとバロットの未来が描かれるのか?
あるいは、ウフコックと第3のパートナーの話になるのか?

ウフコックやボイルドが、口癖のよーに言う「有用性の証明」と、
バロットの言う「愛」とは、ほぼ同義であるよーに思える。
彼等が共通して求めているもの───
それは、「生きる価値」「自分が何者かという実感」「存在する意義」…
すなわち、アイデンティティの確立だ。
誰もが皆、等しく己れのアイデンティティを求めているのだ。

信じられることが何よりの支えだった。裏切られないという確信───それが世界に満ちてさえいれば、麻薬も銃も要らなくなるのに。

思わず笑ってしまった。ネズミとの恋愛を、イルカにアドバイスされるとは思ってもみなかった。何もかも狂っていたが、悪い気はしなかった。もともと狂った世界に住んでいたのだ。いっそここまで狂ったほうが清々すると思った。

「ルーン=バロット」
ベル・ウィングが呼んだ。
《はい》
「運を右回りにする努力を怠ってはいけないよ」
《はい》
「なに、難しいことじゃない。女らしさを磨くのと一緒さ」
《どうすればいいんですか?》
「いるべき場所、いるべき時間に、そこにいるようにしな。着るべき服、言うべき言葉、整えるべき髪型、身につけるべき指輪と一緒に。女らしさは運と同じさ。運の使い方を知ってる女が、一番の女らしい女なんだ。そういう女に限って運は右に回るのさ」


───愛されたいと思った人は沢山いた。でも愛したいと思った人はあなただけ。
全身でウフコックの存在を感覚しながら、告げた。自分の意志と勇気を。
───これから戦うのは、あなたの昔の友達だから。動けなくさせるよう頑張ってみる。
ウフコックは、じっとバロットの真意を嗅いでいるようだった。相手の命を狙わず、ただその行動を封じる───ボイルドという強敵を相手に、そんなことを試みること自体、自殺行為に等しかった。ボイルドは容赦なくこちらの隙を突いて仕留めに来るだろう。
バロットはさらにスーツを強く抱いた。自分の身を覆う武器を。タイトに、きつく。
───殺さない。殺されたりしない。殺させもしない。何とかやってみる。
それがウフコックから学んだことだったし、バロットが今出せる答えだった。
「我々は殺さない。我々は殺されない。我々は殺させない。」
ウフコックは、合言葉のようにそれを繰り返した。
「とても難しいことだ……。だが……挑戦する価値はある」


いつでも煮え切らないこの卵を、ずっと抱いていたい───この引き金のない銃をこそ。

卵づくしだー。
まず、タイトルからスクランブル・エッグ(炒り卵)だし。
登場人物も、卵だらけだ。
・バロット…フィリピンの、アヒルのヒナが生まれる直前のゆで卵。
・ウフコック…半熟卵。
・イースター…イースター・エッグ。
・ボイルド…ハードボイルド・エッグ=固茹で卵。
・シェル…卵の殻。
その他、ハンプティ・ダンプティ、エッグノッグなど、作中に登場する様々なものの名称が卵にちなんでいる。


コレ…
アニメ化の企画が一度流れているが、個人的には、アニメじゃなくて、
ハリウッドで実写映画化の方がイイな~。
ぜっっってぇ~、日本では実写映画化しねーでくれ!
あ~、俺もウフコックが欲しいぜ~~~っ。
メイド・バイ・ウフコック
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マルドゥック・スクランブル The First Compression 圧縮


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マルドゥック・スクランブル The Second Combustion 燃焼


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マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust 排気

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by inugami_kyousuke | 2009-04-11 11:03 | 文学