人気ブログランキング | 話題のタグを見る

犬神狂介の【狂人日記】

kyoujin.exblog.jp ブログトップ

マンハッタン・ラブストーリー(TVドラマ)

【96点】

●「また面白いモノを作ってしまった…!
(勿論、『ルパン三世』の石川五右ェ門の「またつまらぬモノを斬ってしまった…!」をもじったもの)」という名セリフを残した、クドカン(宮藤 官九郎)+磯P(磯山晶プロデューサー)の3作目。
TVシリーズを映画と同列に論じるのは、自分でもどうかと思うが、少なくとも、内容的には何ら遜色ない。むしろ、この作品を凌駕する映画を見つける方が難しい。
ある意味、あの『フレンズ』さえ越える、極めて完成度の高い作品。
●あえてジャンル分けするならば、「スラプスティック・ラブストーリー」とでも言う物で、通常のラブストーリーとは、明らかに一線を画す。ファンの間でも、「ラブストーリーか?それともアンチ・ラブストーリーか?」と議論を呼んだ。
だが、この作品の真の異色性は、そんな所にあるのではない。そもそも、成立過程そのものがフツーじゃねぇ~のである。
●この作品は、クドカンが2~3話脚本を先行する形で製作されたらしいが…
異常なのは、クドカンは「TV放映された1話目を見て、4話目を書いた」という点である。あまりピンと来ないかも知れないが、コレはフツーじゃない。
簡単に言うと、通常、「製作者→視聴者」というのが作品の流れなのだが、この作品では「製作者→視聴者→製作者…」という無限ループが形成されており…より端的に言うと、いわゆる「フィードバック」が行われた状態、である。
コレは、「演劇で、客席のウケを見ながら、脚本家がホンを直してゆく過程」や、「コミックで、ただの脇役が読者の人気を得るにつれて準主役級に成長してゆく様」に酷似している。
実際、当初の設定では完全な脇役であった尾美としのりや船越英一郎が「ブレイク」して、終盤には準主役級にまで成長してゆく。
まだTVという娯楽が発達していない国ならばともかく、こんなモノ、そうそう見られるモンじゃねぇ~。
●この作品の凄い所は、それだけではない。役者のテンションも異常に高く、アドリブもあり、クドカンのセリフは勝手に削られ、ないはずのシーンが作られ、スタッフの「こだわり」や「作り込み」も尋常のレベルではない。一方、番組の公式HPでは、加熱したファンの声が、この作品のストーリーまでもを変えようとしていた…!
もう、こうなると、渾然一体となって、誰が何を作ったのか、判然としなくなって来る。製作、役者、そして視聴者の3者が、三位一体となって生み出された…それは、あたかも砂漠に咲いた一輪の「奇跡の花」のような作品である。
んあ~、とーとつだが、この作品を語り始めると、本当に本が1冊、書けてしまうので、このあたりで割愛させてもらう…
マンハッタン・ラブストーリー(TVドラマ)_d0012442_20553520.jpg

by inugami_kyousuke | 2005-06-13 20:53