びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

華々しき鼻血

エドワード・ゴーリーの絵本『華々しき鼻血』を読んだ。

華々しき鼻血…
なんてタイトルだから、てっきり、ド派手にドッバァァァ~~~ッ!!って鼻血が出る話かと思ってたんだけど、
全然、違った。

ゴーリー十八番のアルファベット・ブックだった。
毎度お馴染みの、A~Zの頭文字で始まる26の文章と挿絵。
ゴーリーは、「ネタに困ったら、アルファベット・ブックをやる」と決めていたらしい。
この本は、26のドラマチックなシーンから成り立っている。
どれも、「なぜ、こんなシーンが?」と、ついつい考えさせられるよーなモノばかりだ。
もちろん、最初は意味不明だ。
しかし、何度も見ている内に、どーも、最初はバラバラと思えたシーンが、
実は、一連の出来事なのかも知れない…と思えて来るのだ。
その証拠に、よく見ると、明らかに同一人物が、何度か登場している。
複数の犯罪を示唆するシーンがあり、
目撃者が何かを目撃するシーンや、
犯人が隠蔽工作をするシーン、
それに、いかにも思わせぶりなシーン、
一見、全くカンケーなさそうな、突飛なシーン…
「ある事件」、もしくは「複数の事件」の時間軸を、バラバラにシャッフルして見せられているよーな気がして来る。
こーなると、これはもう「知的パズル」だ。
いつまでも、「あーでもない、こーでもない…」と考え続けるコトになる。
もちろん、答えはないんだが。

ゴーリーとゆー人は、非常にクレバーな作家だ。
常に、読者の反応を巧妙に計算しながら描いている。
あえて最後に謎が残るよう、全てスッキリ解決してしまわないように描いているのだ。
何度でも楽しめるよーに。
言わば、この本は「永久パズル」なのだ。
「無限推理小説」みたいな。
加えて、翻訳の柴田元幸とゆー人の力も大きい。
今回は、カルタの文章みたいに訳している。
原文は、韻を踏んでいたりして、そのまま日本語に置き換えるコトは不可能だ。
こーゆう場合、直訳してしまう翻訳者も多い。
が、多少、原文とは違っていても、何かしら雰囲気を伝えるこーした工夫は必要だと思う。
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by inugami_kyousuke | 2009-05-10 09:17 | 文学