びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

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飯田茂実著『一行物語集 世界は蜜でみたされる』を読んだ。

ザンネンながら…
つまらなかった。
「一行(一文)完結のショートショート」ってアイデア自体は、充分、面白いと思うんだが、
肝心の内容がイマイチだった。

もっとストーリー性のあるモノかと期待して読んだんだが…
何だか、夢日記のメモみてーなカンジの内容だった。
否、もちろん別に、ソレならソレで、い~んだが…
夢日記にするんだったら、せめてもっとシュールに、詩的断章みてーに昇華するべきだった。

何つーか…コレだと、
「思いつきそのまんま」っつーか、
「着想の走り書き」っつーか、
つまり、原石のままなのだ。コレじゃ。
「原石のまま」ってコトは、すなわち「ただの石コロ」って意味で…
イコール「無価値」ってコトだ。

勿体ねぇな~。
もっと磨けば、輝石や宝石になるのになぁ~。
その素性の知れない美貌のモデルが息を引き取ると同時に、生前みずから予言していたとおり、彼女を描いたいくつもの肖像画は皆、それぞれの置かれている場所で、紫色の炎を吹いて燃え始めた。

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一行物語集 世界は蜜でみたされる

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by inugami_kyousuke | 2010-11-21 21:32 | 文学
南條範夫原作、山口貴由作『シグルイ』全15巻を読んだ。
タラちゃんも真っっっ青な、「残酷時代劇の極北」みてーな作品だ。
「グロ」の極北と言っても良い。
個人的には、「ココまでグロじゃなくても良かったんだけどなぁ~」と思う。
が、ミスター残酷=南條範夫が原作だし、
そもそも、ココまで描いたからこそ、注目された(売れた)ワケだから、まぁ…しょーがねーとも思うが。
でも、別に、けっしてコレが画期的な試みだったワケでもない。
もーずっと昔に、平田弘史が、さんざんこの手は描き尽くしてるワケだからよー。
俺としては、今さら山口貴由がやるべき仕事なのか?と大いに疑問を感じていた。
俺にとっては、山口貴由とゆー人は、もっと他に、やるべき仕事があるよーに思えて仕方がねぇ~のだ。

…………………え゛!?
ってカンジだった。
正直。

南條範夫の原作『駿河城御前試合』も既読なので、ラストが唐突なのは承知の上だ。
それでも、コ・レ・はっ…?
とゆー印象をぬぐいきれねぇ~。
疑問の残るラストだった。
あんだけ広げまくった大風呂敷を、コレで終わらせるって?
ハッキリ言って、無理だろ!!
コレだけじゃ、たぶん、意味不明だと思うぜー。
断言するけど…
オチてねーです、この話!!

解説しよう!
よーするに、この話は、
無敵を誇った岩本虎眼の秘剣「流れ星」を
伊良子清玄が新たに編み出した秘技「無明逆流れ」によって破り、
さらにそれを藤木源之助が研鑽した無名の技によって破る(=師の仇打ちを果たす)…とゆー話だ。
それぞれの必殺技を考えてみると…
虎眼の「流れ星」と清玄の「無明逆流れ」は、原理的には同じモノだ。
剣を片手で持つか、両手で持つか?
あるいは横薙ぎか、斬り上げか?
とゆー程度の違いでしかない。
つまり、「無明逆流れ」とは、「流れ星」の一亜種に過ぎないのだ。
が、一方、源之助の技は、虎眼流とは全く無縁の技であり、
本来、源之助が得意とする「鍔迫り」の延長線上に存在する。
虎眼流が、腕~剣を鞭のように高速で疾らせ、カミソリのような効果を生むのに対し、
源之助の技は、その真逆の発想から生まれた。
すなわち…
まず、「鍔迫り」によって、相手を不動の状態に縫い止めた後、
剣の切っ先を地面に固定し、
あとは己れの全体重と筋力を用いて、相手を切断してゆくのだ。
ゆっくりと。
テコの応用で。
コレは、カッター台と同じ原理だ。
15巻のラストでは、この源之助の技に関する説明が一切、ね~のだ。
ちなみに、冒頭の部分で、源之助が清玄に遅れを取ったのが、他でもない、この「鍔迫り」であり、
最終的に、源之助は己れの得意技であるこの技を極限まで研鑽し、
いわば「ハイパー鍔迫り」によって、清玄を打ち果たしたワケである。


また、同時に、この物語は、
虎眼=天才、
清玄=天才、
源之助=秀才、
とゆー三者の物語であり、
天才ではない源之助が、血の滲むよーな努力の末に、
ついに清玄=天才に勝利する、とゆー話なのだ。
「たゆまぬ努力こそが、真の才能さえも凌駕する」と。
あと、ついでに、もー1コ…
実は、随分、前から気にはなってたんだけど、
この表紙…不必要にヘンタイっぽくねーですかね~?
俺、こーゆうのはちょっと…。
たしかに残虐とエロス(耽美)っつーのは、表裏一体なのは理解出来るけど、
表紙だけ見てると、コレ…
カンペキその手の本にしか見えねぇ~と思うんだが?
一体、何考えてんだ、秋田書店!?

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シグルイ

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by inugami_kyousuke | 2010-11-21 09:41 | コミック
宮沢賢治作
小林敏也画
絵本『黄いろのトマト 博物局十六等官キュステ誌』を読んだ。

実をゆーと…
『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』や『猫の事務所』『セロ弾きのゴーシュ』『よだかの星』などといった有名な作品と違って、どちらかとゆーとマイナーな作品だったので、全く期待せずに読んだ。

…が!
イイぜっ!!
コレ、イイっス!!
ちょっとイラストのタッチがパウル・クレーとか、安野光雅に似てるんで、
オリジナリティって意味ではイマイチかも知んねーけど、
単独の絵本としては、非常に完成度が高ぇ~と思う。
センスも良いし!
タイポグラフィもバッチリだし!
全てが計算され尽くしているカンジだ。
おそらく、この小林敏也って人は、そーとークレバーな人なのだろう。
「業師」っつーか。
そして、何よりも、色が素晴らしい!!
絵本としての完成度は、あるいは名作『よあけ』にも匹敵するかも知れねぇ~。
個人的には、『よあけ』の方がはるかに好みだが。
幾何学的な作品よりも、自由曲線による作品の方がスキなんで…。

特に後半の、幻想的なサーカスの象の描写は秀逸だ。
「白い四角なもの」としか本文では描かれていねーし、
イラストでも、「白いきれを四方にさげた、日本の蚊帳のようなもん」を忠実に描いているだけだ。
が…よく見ると、このイラストの背景は、象の輪郭になっているのだ。
又、各ページの下には、黄色いシミのよーなもんが付いているが、
よくよく見ると、黄色い色玉の中に、ノンブルが入っているのだ!
芸が細けぇ~っつーか、完璧主義っつーか…

全編、水彩画によるイラストだが
色のにじみ、組合せの計算がはぼカンペキに成されている。
「変に赤くどんより」なったお日さまや、ちぎれ雲、
サーカスに集う矢印たちの足元に映る影、
そして、ラスト2ページの、「まっくらな丘」から「あんまりの明るさ」への転調がサイコーだ!
さらに何より、主役である蜂雀が、ちっこくて実に愛らしい。
色も明るく、全体的に楽しい色調となっている。
「よくココまで作り込んだな~」とゆー印象だ。
コレは、ある意味、「偉業」と言って良いのかも知れねぇ~。

ペムペルとネリは毎日お父さんやお母さんたちの働くそばで遊んでゐたよ
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黄いろのトマト

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by inugami_kyousuke | 2010-11-16 08:07 | 文学

ペドロ・パラモ

フアン・ルルフォ著『ペドロ・パラモ』を読んだ。
ラテンアメリカ文学の古典的名作…だそーだ。
スペイン語圏の作家・批評家を対象としたアンケートでは、ラテンアメリカ文学最良の作品として、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』とルルフォの『ペドロ・パラモ』がトップに選ばれたコトもあったとか。

フアン・ルルフォっつー人は、生涯にたったの2冊しか小説を書いてねぇ~。
てか、ナント…!
書いた端からどんどん破り捨ててたらしい。
人に説得されて、やっと破り捨てるのを思いとどまった作品もあったそーだ。

タイトルの『ペドロ・パラモ』ってのは、人の名前で、
ある私生児の男が、母の遺言で、父親に会いに行く。
だが、その街は、幽霊がうじゃうじゃいる街で…って話。
『枯木灘』を思い出した。
あそこまで濃縮されたドロドロ感はねーけど。
けど、まぁ、よ~するに、血族間の因縁話って意味では、似たよーなモンだ。

たしかに、非常に技巧的な作品だとは思うが、
ザンネンながら、個人的に、こーゆうテーマには全く興味が持てねぇ~。

「苦いのだよ」コマラの主任司祭は、相手の質問を先まわりして言った。「神様の思し召しで、何もかも与えられるところにわたしたちは住んでいるんだが、すべてが苦みを含んで与えられる。そういう宿命なのだ」
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ペドロ・パラモ

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by inugami_kyousuke | 2010-11-15 18:13 | 文学

Q10

コエンザイムQ10ではない。
「キュート」だ。
木皿泉脚本、前田敦子主演の連ドラ。
初回~4回を見た。
小川先生(田中裕二)の「久戸花恋(きゅうとかれん)さんです!」にゃー笑ったぜー。
汐華初流乃(しおばなはるの)並みにブッ飛んでる。
「キュート=可憐」さんですか~?
寺門ジモンみてーだなー。
てか、三平三平?みたいな。

ヤバいヤバい!
ギュウゥゥゥ~~~ンンン…!!
って、画面が歪んで、広角レンズの映像(もちろん、コレはQ10の目線だ)に変わるシーンで、
毎回、キュッと心臓を鷲掴みにされたみてーになるのは、俺だけか?
思えば、『セクロボ』でも、あの時間が止まるシーンが、メッチャメチャ好きだったんだよな~。

ある日、ゴミ捨て場に捨ててあった美少女ロボットを拾って来てしまい…とゆー話。
鉄塔マニア、
電柱マニア、
アニメおたく、
貧乏青年、
病気の友人、
ロック・ミュージシャンの卵、
ひきこもり、
ガリ勉の優等生…
割とみんな、しっかりとキャラの立った登場人物たちによる群像劇となっている。

この手の話は、
「Q10は、いつ、誰によって、一体、何のために作られたのか?」とゆー謎がタテ軸となって語られてゆくのがフツーなんだが…
「チラ見」程度にしか、見せねぇ~。
ま、もちろん、最終的には、そーゆう方向性のオチを用意してるんだろーけど。

「永遠なんて無い」
「いつかはみんな死ぬ」
「…だから、今を大切に生きよう!」
ってゆーよーなメッセージが、再三にわたって繰り返される。
こんなに達観した人たち、ぜってーいねぇ~って!

ひょっとして…
この作品の発想の起点って、『カイルXY』なんじゃね~か?
と、何度も思った。
カイルとゆー記憶喪失の少年が、赤ん坊のよーな無垢な目で、世界を再認識してゆく…
Q10も全く同じだ。非常に酷似している。
つまり、彼等の目を通して、視聴者もまた、世界を再認識する仕組みになっているワケだ。
「ウソをつくのはいけないのに、みんなウソをつく」とか、
「見て見ぬフリをする」とか…
なぜ、間違っていると知っているのに、正さないのか?と。
正しいコトを正しいと言って、何がいけないのか?と。

まさか…
コレって、『ドラえもん』?
それとも、『いけちゃんとぼく』?
まさか、『ドニー・ダーコ』じゃねーよな~?
やっぱ、入院してる友人は、このまま死んでしまうんだろ~か?
もしかして、平太も…?
あんまり、暗い話にならねーとイイけど…
ぱふ?
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by inugami_kyousuke | 2010-11-07 18:23 | テレビ

雨ニモマケズ

宮沢賢治作
小林敏也画
絵本『雨ニモマケズ』を読んだ。
この本には、いちおー「画本」って書いてあるけど、
分類上、ここでは「絵本」ってコトにさせてもらうぜー。
めんどくせ~から。

コレは、没後、発見された、いわゆる「雨ニモマケズ手帳」の51~60頁だ。

小林敏也の版画が、味があって、かなりイイ。
特に、ユキヒョウが可愛いぜぇ~。
あと、ツバメとカエルも。
ただ、ちょっとザンネンだったのは…
本文と版画の中の文章が重複している点だ。
コレは、ハッキリ言って、どっちか1つで良かったと思う。
活字で本文を読んで、絵を見ると、絵の中にも同じ文章が描かれている。
クド過ぎんだろー、コレじゃ。

最近じゃ、版画なんて目にするコトはほとんど無くなったけど、
やっぱ、イイな~。
こーゆうのも。

俺も…
こんな俺でも、、
「サウイフモノ」になりたい。とは思う。
でも、きっと、永遠に無理だろーなぁ~。

サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
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雨ニモマケズ

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by inugami_kyousuke | 2010-11-01 22:50 | 文学