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犬神狂介の【狂人日記】

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クワイエットルームにようこそ

【62点】

松尾スズキ原作・脚本・監督、蒼井優主演、じゃなかった…いちおー内田有紀主演作品。

かなり面白かった~!

でも、エンターテイメントとしては、文句なく面白いんだが…
コイツは、オリジナル作品じゃねーじゃん!
ウソはいけねぇ~ぜっ。
キッパリと「リメイク」と銘打つか、もしくは「スザンナ・ケイセン『思春期病棟の少女たち』原作とするべきだろ?
じゃねーと、コイツは「パクリ」ってコトになる。
つまり、盗作だ。
この作品の元ネタは、言わずと知れたハリウッド映画『17歳のカルテ』だ。
コレはもー、「インスパイア」なんてレベルじゃねーし。
たしか、松尾スズキの原作は芥川賞候補にもなったハズだが…
こんなパクリが芥川賞を受賞したりしたら、それこそ、世界の笑いモノだ。
「パクリOKの国」ってコトになっちまう。
てか、すでに「芥川賞候補になったコト」自体、充分に問題だと思うんだが?
もっと言うと…コレを「問題だと思わねーコト」が、そもそも、根本的に問題なんだが。

・エッシャーの絵
・オズの魔法使い

などがモチーフとなっている所も、全く同じだし。
フラッシュバックによって、過去を描いてゆく技法まで、そのまんま踏襲してやがる。
てか、設定からストーリーまで、ほぼ、まるっっっきり同じ話だ。
違うのは…

・キャラクター
・エンターテイメント志向が強く、面白いが、逆にその分、軽くて、底も浅い
・つまり、テーマ性が希薄

ってトコくらいか?

この物語に於いて、主人公=明日香(内田有紀)は、常に傍観者的に存在する。
俺には、彼女の価値観が、最後までよくわからなかった。

・面白い人
・面白くない人=ウザい人=生きるに値しない人

とゆー二元論もよくわかんねーし。
離婚したダンナが、アゴ外して泣きながら嘆願してる姿は、見ようによっては、結構、面白い捨て身芸だったと思うんだがなー。
アレを見て、笑えなかったってコトは、彼女の「笑いの幅」は、たぶん、そんなに広くなかったんだなー?と俺は感じた。
あの時…あのダンナを見て、もしも「ギャハハ~!アンタも、結構やるじゃん!?ちょっと見直したよー」と爆笑出来てたら、
おそらく、彼女の人生は、もっと違ったモノになっていただろう。
ダンナに「頼むから、死んでくれ~!」と言った彼女自身が、皮肉にも、仏壇を銀色に塗って踊り狂う鉄雄(宮藤官九郎)に今度は自分がマジギレするコトになる。
つまり、ダンナに「死んでくれ~」と言った自分もまた、実は、「面白くない人」の1人に過ぎなかったとゆーワケだ。
そして、ついに、似たよーな「面白くない人」だらけの閉鎖病棟で、5点拘束されるに至るのである。

「笑いのツボ」っつーか、笑いのリミットってのは、ホントに人それぞれで、
たとえAさんには、バカうけしたネタでも、
Bさんには、タダの痛くて寒~い芸に過ぎず、
更に、Cさんに至っては、激怒しちゃったりするのだ。
究極の笑いは、狂気と紙一重なんだろーし。

この作品には、
閉鎖病棟を出た明日香が、一体、これからどこへ行くのか?
彼女が閉鎖病棟で得たモノは、何だったのか?
彼女がどう変わり、これから先、どのよーに生きて行くのか?
といった部分が、一切、描かれていない。
つまり、テーマがない。
この作品に於いて、明日香とゆー存在は、いわば、一連の物語を目撃する「目」としてだけ、存在するのだ。
こーした作品を「換骨奪胎」と言う。
『17歳のカルテ』の搾りカスに、別の美味しい味付けをして、売っている…
そんなカンジだ。

登場人物たちの演技・存在感が、実に素晴らしかった!
ヘビのよーな蒼井優の狂気は、鳥肌ものだし、
大竹しのぶは相変わらずものスゲ~し、
りょうもド迫力だし!
妻夫木聡は、俺が今まで見た作品の中では、この作品がいちばん良かった。
クロネコ山岸(平岩紙)も。
クドカン(宮藤官九郎)は、いい味出してたけど、
今回は、お尻出させられてたなー。
松尾スズキとクドカンは、自分の作品の中で、毎回、お互いに罰ゲームみてーな役をやらせ合ってんだよな~。
『東京メリケンサック』には、松尾スズキも出んのかな~?
出るとしたら、次は、どんな役なんだか…
楽しみだな~。
ステンレス星人なのだ!
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by inugami_kyousuke | 2008-06-07 21:35