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犬神狂介の【狂人日記】

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陽炎座

【92点】

●コレは…マジでヤバい!耽美的映像芸術の極北。
ジッサマ(鈴木清順監督)は、もー少し、高く評価されてもいいんじゃねーだろうか?
『ツィゴイネルワイゼン』の狂気を、更にグツグツと煮つめたような作品。その映像美は、まるで、極彩色の耽美的な万華鏡を覗いたかのようで、クラクラとめまいさえ感じてしまうほどだ。『ツィゴイネルワイゼン』は、夢とうつつのはざまの物語だったが、『陽炎座』では、ついに「涅槃」にまで至ってしまう。
●『ツィゴイネルワイゼン』のヒットに気を良くしたジッサマが、暴走しまくって撮ったと思われる。言うまでもなく、とてつもなく評判が悪い。『ツィゴイネルワイゼン』を認めるヤツは結構いるが、『陽炎座』が『ツィゴイネルワイゼン』よりイイ、と言うヤツにはお目にかかった事がない。が、この作品が『ツィゴイネルワイゼン』の延長線上に存在する事は、まぎれもない事実である。
●思うに、『ツィゴイネルワイゼン』はキチンと手順を追った作劇法で描かれている為、論理的に理解する事が可能だが、ジッサマは『陽炎座』で、その「論理のはしご」すら取っ払ってしまっている為、多くの人が頭を抱えてしまうのである。
よく「難解な作品だ」と言うヤツがいるが、この作品は、そーゆう作品ではない。根本的に、立脚点が間違っているから、何百回見たって理解なんか、出来るワケがねぇ~のである!
●解説しよう。
この作品は、「感性」で描かれているのだ。従って、「感性」の目で見なければ、何も見えるハズがないのである。例えるならば、ピカソの絵のようなモノである。「感性」によって描かれた作品を、「論理」の目で理解しようとする事は無意味である。「論理」とは、積み重ねる事によって、ひとつの「高み」に到達する為の手段の一つである。が、その方法では、決して到達出来ない「頂き」が存在する。その場所に至るには、その場に「論理」を捨て去り、「飛ばねば」ならない。
それを出来るヤツは「理解」に達し、出来ないヤツは永遠に「理解」出来ない。ただ、それだけの話である。
●ジッサマ、サイコー!500歳くらいまで、生きてくれ!
そして、20年に1本くらい、新作を撮ってくれ!!
陽炎座_d0012442_23214036.jpg

by inugami_kyousuke | 2005-06-04 23:00