びぶりお・まにあの詩


by inugami_kyousuke

銭ゲバ

全9回を見た。

視聴率はイマイチだったみたいだが…
人間の「妄執」をテーマにした、いい作品だったと思う。
非常に重く、暗く、恐ろしい作品だったが。
メッセージ性の高い、実にトンガった作品だった。

最終回、まさか、丸々1話を妄想に当てるとは思わなかったぜ~。
ダーク版「マッチ売りの少女」みてーな話だった。
少女じゃねーし、マッチじゃなくて、ダイナマイトだったけど。
巨万の富を手中に収め、使い道もわからないカネだけが増えてゆく。
が、逆に、幸せが、指の間から、どんどんこぼれ落ちてゆく…
妄想の中で、風太郎(松山ケンイチ)は幸せになった。
でも、それは、決してカネの力ではなかったよなー。
皮肉な話だ。

風太郎は、世の中の口先だけのキレイ事を哂う。
性善説を哂う。
「人間は、本来、悪なのだ」と。
自分のコトを、「生まれながらの悪」と位置づけている。
性悪説だ。
純粋に己れの欲望に忠実に生きるコトは…
すなわち悪なのかも知れない。

が…
風太郎は、父親に「死んでくれ」とは言ったが、結局、自分で殺すコトは出来なかった。
刑事の奥さんの手術費用を支払った。
定食屋の借金を支払った。
茜(木南晴夏)を地獄から救い出し、幻影ではあったが、愛を与えた。
風太郎の中に、常に「答え(救い)」は内在していたのだと思う。
常に選択肢はそこにあった。
おそらく、最初から最後まで、そこにあったのだ。
しかし、常に彼は間違った方を選択した、とゆーコトなのだ。
「妄執」が、彼の人生を狂わせたのだ。
その証拠に…ラストの妄想は、決して狂人のものではない。
それは、非常に真っ当な、ごくフツーの幸せだ。

このドラマは、最後に時間軸が戻って、風太郎の独白で終わる。
そして、彼の言葉通り…
緑(ミムラ)は、風太郎の自殺を止めずに傍観していた(コレは、すなわち「殺した」のと同義だ)罪を背負って生きてゆく。
ずっと「穢れなき存在」として描かれて来たヒロインが、最後に罪人となってしまう。
さらに家政婦の春子(志保)は、ポツリと「銭の塊ズラ~」とつぶやく…
もちろん、コレは風太郎のセリフだ。
誰もが罪人だ!
誰もが銭ゲバだ!!
そーゆうドラマだった。

それにしても…
「視野欠損」には参った。
「世界が歪んで見えるんですよ~」には。
ホントにぞっとした。
爬虫類の目みたいな、気色悪さを感じた。
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by inugami_kyousuke | 2009-03-20 10:01 | テレビ